2023-07-17(Mon)
老舗今昔~野上新仏具店~

全国で初めての「竹の線香」を開発
仏壇・仏具などの販売を手掛ける(株)野上神仏具店は今年創業104周年。1919(大正8)年、漆塗り職人の野上豊助(とよすけ)氏が手掛けた蒔絵などの製作販売が始まりで、「野上豊助商店」を1930年に開業した。現店舗がある小倉魚町に移転したのは1937年。当時の社名は「野上佛具店」。有限会社から株式会社への組織変更に伴い、2003年に現在の「野上新仏具店」に社名を変更した。
2代目が現会長で豊助氏の孫の嗣之(ひでゆき)さん(73)。「あなたの今日の仕事はたった一人でよい、この店に買いに来てよかったと満足してくださるお客様をつくることです」という商いの詩人と言われた岡田徹氏の誌を経営理念として今年4月まで38年間、地域に愛される店づくりを心がけてきた。
父嗣之さんの思いを引き継いだ哲平さん」(36)が5月に3代目代表取締役に就任した。哲平さんには「企業は地元だけでなく地域全体への貢献も不可欠」との信念があり、社長就任以前から得別な商品開発に挑戦していた。それが就任と同時に発売した全国初となる竹の線香「小倉竹の香」だ。
製作のきっかけは4年前のイベント「小倉城竹あかり」で大量に余った竹灯篭を目にしたことだった。竹害は全国的な問題でもあり、自分にできることは何かと考え、竹の線香の開発に乗り出すことを決断。大阪のメーカーとの共同作業だったが、険しい道のりだった。加工技術が難しく完成まで3年を費やした。「小倉竹の香」は「香りがいい」と反応は上々。海外の観光客の人気も高く、北九州の新しい名産品として育てていきたいという。
「個々の企業の成長がまちの発展につながると思います」と哲平さんは語る。「これからも北九州と共に歩んで成長していきたい」と新たな挑戦に向けて決意を新たにしている。
北九州商工会議所 所報2023年7月号